ありのままブログ

ニューヨークを拠点に刺激あふれる世界で、日々感じたことをブログを通して表現

影法師

二回目のブログ更新で書評になりますが、それなりに楽しんでください。

 

海賊と呼ばれた男を読んで以来、百田さんにはまってます。彼の作品を読むと毎回、作者が違うんじゃないかと思うぐらい内容が違う。読んだ作品の中でも海賊は第二次世界大戦前後の日本で活躍する出光佐三の話。この話は本当に心が熱くなるのと、本当の昭和の日本人を体現している気がします。疾風のマリアは昆虫を題材とした珍しい作品で、オオスズメバチを中心にうまくストーリーが展開しています。ダーウィンの進化論を以前に読んでいたので、非常に興味深い内容でした。モンスターは映画化もしましたが、美容整形を題材とした現代小説です。これらの作品だけを考えても、内容がバラバラで同じ作者なのか疑問に思うぐらいです。共通して言えることは、至る所に散りばめられた伏線が、拾い忘れられることなく、完全につながっていきます。圧巻な構成力に、そこから来る重厚なストーリー。ほんとうに面白い。

 

今回読んだのが「影法師」。設定は戦国時代が終わった江戸時代です。簡単に説明すると、下士である主人公と中士である竹馬の友との友情と信頼を書いた作品です。また、作品を通して、戦争が終わった当時の武士として生きることの難しさ、階級制度、学問等本当に充実した内容です。その中でも現在の人が失いかけている、家族、家系に対する思いがしみじみと伝わってきます。二人の友情を表現したいのはわかりますが、表現するために用意された周到な伏線、人物設定、時代設定。これらを本当にうまく使い最高の作品になっています。今年のTop3に入る本ではないでしょうか。

 

では!

johnson